高いところにしまうモノ

掲載日:2010.12.30

最近では12月だからといって特に大掃除はしない、という人も多いようです。
とはいえ、いつもよりちょっと丁寧にお掃除したり、気になっていたところを整理したり、磨いたり。「たまにしなくてはいけない小さなメンテナンス」をしたという方は多いのではないでしょうか。

「大」掃除のプレッシャーは不快ですが、1年の最後に小さな達成感を味わうのは悪くはありません。

私はキッチンの棚の一番上にあったダンボール箱を整理してみました。たしか使わない食器類を詰め込んだまま放置していたはず。
脚立に昇り、油でべとつく重い箱をかかえおろし、大半を捨てました。やれやれ、すっきり。

気をよくして、電話で実家の母に自慢してみました。そんなことを聞いてくれるのは親しかいません。

自慢話をした後ふと、母もその気になって大掃除なんかを始めるとまずいなと気がつきました。84才の母は一人暮らしです。ここ数年、お正月は私のところで過ごし、私は実家の大掃除を手伝っていません。

あわてて「おかあさんは天袋とか、出し入れしないでね。どうせ使わないモノなんだからほっといてね。イスになんか上がったら危ないよ」と。知り合いのお年寄りで、踏み台にしていたイスから落ちて、歩けなくなってしまった人がいるのです。

私がそういうと、母は「あのね、この間めったに使わないものだから上の戸棚にしまおうと思って、下から見てたらね。気がついたの。ああ、もうこれを使う時はない。しまわなくていい、頑張って高いところにしまわなくていいんだ、って思ったの」と、嬉しそうに言いました。

実家の台所の吊戸棚は、手が届かない高いところについていて、とても使いにくいのです。
母は面倒なことから解放されたことが単純に嬉しかったのだと思いますが、私は返す言葉に困り、ちょっと間があきました。

結局、母がしまおうとしていたのは何だったのかは、聞きませんでした。捨てたそうです(^_^)