生命力・忍耐・愛

掲載日:2013.12.26

吹雪がやんだ森を歩いていた時、「やどりぎ」を拾いました。薄緑の小枝が道の脇の新雪の上に載っているところは、まるで贈り物をぽんと置いてもらったようでした。

少し黄色がかった緑色の10㎝くらいの短い枝。元からふたつに分かれ、それがまたふたつに分かれ、その先にプロペラ形の葉がついています。倍々に広がる形と分厚くて皮っぽい葉は、何だか宇宙人ぽくて可愛らしい。

強い風に吹かれて折れたのでしょう。まわりの木を見上げてみると、ありました。高い木の上の方に、大きな球形のもしゃもしゃが。カラスの巣ではなく「やどりぎ」です。

やどりぎは、樹木に寄生する植物です。その実を食べた鳥が木の上でフンをして、種は再び新しい樹木に寄生して芽を出します。土に生えることなく、樹上で生き続ける植物です。

自分でも光合成をするので正確には、半寄生植物だそう。(寄生というと、ずるいヤツと印象が悪いので補足)

種は鳥に消化されてしまわないように、強力なねばねばにくるまれていて、これはまた排泄された時に、木の枝に粘りつくのに有効なのだとか。

夏には樹木の葉に隠れて、あまり気がつきませんが、冬になって他の樹木が落葉すると、こんもりとしたボール状のやどりぎの姿が見つけやすくなります。

冬も元気なので、西洋では特別な忍耐や生命力の象徴として、クリスマスの頃にその枝をドアに掛けたり、天井から吊るしたりして飾るとか。

また、飾られたやどりぎの下を通る女の子にはキスしていい、ということになっているらしいです。もし、パーティなどでやどりぎが飾られていたなら、女子は無駄に立たないようご注意を。