小さいものですが
掲載日:2015.10.26
最近の洗面器の排水栓には、3つのタイプがあります。
水栓(蛇口)後方のボタンを押すと排水口が開き、もう一度押すと閉じるタイプ。(ワンプッシュ式)操作も軽く、チェーンがないので見た目すっきり、お掃除もしやすい最新型です。
同様にチェーンがないタイプでは、後ろあたりのレバーを押し引きすることで開閉する水栓(ポップアップ式)も従来から使われてきました。上のタイプに比べると、ちょっと重く感じることも。
一番シンプルなのはチェーンの先にゴムの栓がついたもの。(ゴム栓式)使う人が手ではめます。当然、製品としてはこれが最も安価になります。ちなみに我が家の洗面台は、このタイプです。
顔を洗って水を流す時、よく思い出すことがあります。以前に設計したお宅で、奥様と設備機器を決めていた時のことです。
グレード高め、すっきりインテリアがご希望でした。造作した洗面カウンターにスマートな洗面器、当然のようにチェーンのない排水口を組み合わせた案を作ったのですが、奥様は「排水口はゴム栓にして下さい」と。
「今、住んでいる家の洗面台がポップアップ式で、古くなってきて、しっくり閉まらない。直してもらっても、やっぱりすっきりしないし。替える部品も手に入らないらしい。今度の洗面台は、わかりやすいゴム栓にしたいと思う。ゴム栓なら、自分で替えられるので」とにっこり。
以前の家の時代と設備製品の環境事情はかなり違います。しかし、シンプルで素朴な仕組みがどんな時にも最強、であるのは間違いありません。すべて高級仕様を選択すればグレード高め、というわけではない、自分の信じるものを自由に選択できることが、本当のグレードなのだなあ、と思ったことでした。
我が家の洗面台も早20年。よくよく眺めてみると栓のゴムはひからびて縮んでいるし、チェーンもすり減って変色しています。ああ、取り替えねば。