蓬屋
掲載日:2016.05.10
春の草花が咲き始めた庭に、早速力強く吹き出す各種雑草たち。柔らかいうちに一度草取りをしておくのもいいかなと、ぽちぽちと抜いてみます。
きれいな緑色だなあ、と揃って生えている短い丈の草を眺めました。若いうちの草の芽は見慣れた夏の姿とは違っていて、総じて可愛いのです。が、これは庭のモンスター、セイタカアワダチソウではないですか。ぶちっ。
細い銀色の毛が生えた緑色の芽を見つけました。ギザギザのついた葉が上で広がって、薄赤い根元。おや、これは「よもぎ」。まわりを見ると、いくつも出ています。根をのばして増えていく、これも困ったヤツです。
つまんで観察していると、草餅のいい匂いがします。そそられて、よもぎを摘むことにしました。雑草取り中止、山菜採りに変更。キッチンからザルを持ってきて集めます。
ゆでて刻み自家製草団子にするととても美味しいのですが、今回は手軽に小麦粉と卵を水でといたものにつけて、フライパンで焼きました。
根元を持って先を浸して、天婦羅をあげるように。あるいは小さなお好み焼きのような。あるいは小さな卵焼きのような。よもぎの香りは、小麦粉や卵や熱い油のこうばしさとよく合います。
沖縄には、おかゆに刻んだ葉を入れた「フーチバジューシー」という料理があって、体によいとされているそうです。知り合いが沖縄で宿酔いになった時、現地の人が食べさせてくれて、とても効いたとか。ほろ苦い味と独特のかおりは、いかにも薬効がありそう。
表題は「ほうおく」と読みます。蓬(よもぎ)で屋根を葺いたような粗末な家、ということで自分の家を謙遜していう言葉だそうです。庭の草を食べている貧乏な家、ではありません。