雪渡り

掲載日:2017.01.09

明けましておめでとうございます。
平和で健やかな1年になりますように。

寒いけれど晴れた冬の朝、窓から外を眺めました。

昔、田舎の親戚の家に行った時のことを思い出しました。ちょうどこんなお天気の日でに従姉妹に連れられて、凍った田んぼの上を歩いて、別の親戚の家まで行ったのです。

雪のない季節には、田んぼや水路に隔てられ、そこに行くには道を廻って行かなくてはならず、子供の足では遠いところと思っていたのですが。直線で行くと思いがけない近さで、見慣れない景色も新鮮でした。

時々、凍った雪の表面を踏み抜くのもスリルがあります。長靴の中は雪だらけになりましたが、体はぽかぽか。今ならスノーシューを履けばいつでも行けますが、冬の晴れた日の特別な楽しみ感にわくわくしたものです。

そんな雪国の楽しさを書いた童話に、宮沢賢治の「雪渡り」が、あります。読みたいな、と思って探すと青空文庫にありました。

久しぶりに読むと、雪国の描写の美しいこと。最初の1行目から引き込まれてしまいます。そうそう、これこれ。

幼い兄と妹が、晴れ渡った日に野原の凍った雪の上を歩いていると狐に出会い、幻燈会に招待されます。開催日時は「今度月夜に雪が凍った」時。

その夜が来て、二人は上の兄さんが持たせてくれたお餅をおみやげに出かけました。

子供の時の記憶では、何だか滑稽な教育的な映画を見て、狐の生徒たちと楽しく遊んで帰ってくる、みたいに思っていたのですが。大人になって読んでみると、ああ、そういうことかと、あらためてわかることがあるものです。昔、読んだ事がある方も読んだことの無い方にも、お勧め出来る冬の物語です。

ちなみに滑稽な教育映画3部作は
『お酒をのむべからず』
『わなを軽べつすべからず』
『火を軽べつすべからず』

うそをつかず、盗まず、人をそねまず、お酒の飲み過ぎに注意しましょう。キックキックトントン。

【青空文庫】雪渡り 宮沢賢治
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/45679_22349.html