木を植える働き者たち
掲載日:2018.11.13
小さな物置を建設中です。
建物自体は簡単なもので、どちらかというと、庭を引き立ててくれることを期待しています。
なので、近所の造園屋さんにお願いすることにしました。
父と息子二人でやっていて、近隣に詳しく、仕事は丁寧なのです。
些細な工事ですが土を掘るので、重機が来るついでに、家と物置の壁に映えるような木を1本植えてもらおうか、ということになりました。
造園屋は「うちの山に株立ちのいいハウチワカエデがある」と。
私の予想では、機械で木を植える穴を掘っておいて、物置工事の後(多分来春)庭師の軽トラに、私くらい大きさの木が乗ってくるのだろう、と思っていたのですが。
物置はおおよその位置が決まり、四隅にコーンが置かれています。
木の場所も決めました。そこへ近所でよく見かける水色のユンボが登場しました。
ユンボはキャタピラの上に、回転するアームのついた建設機械で、道路工事や建築の基礎工事で土を掘っているのをよく見かけます。
ロボットぽい動きや、小回りのきくお利口さと、何となく可愛いその名で広く親しまれています。
え、コーンだけで、もう掘るの?と心配になったところ、息子庭師が木の穴を掘り始めました。
そっち?
穴は、思ったよりだいぶ大きく、夕方には雨が降り始めました。
そこは水はけの悪い粘土なので、嫌な予感です。
翌朝、大きな穴は濁った水が溜まって泥沼状態。「排水しなくてはいかん」と父庭師。
機械でポンプアップするのかな?と、大仰な成り行きを考えた私。
しかしなんと、ユンボ君が穴のきわきわに寄り、アームの先のバケットで水をすくい出す作戦でした。
すくっては回転して、側溝に捨てます。
底に残った少ない泥水は、穴の底に降りた息子が、ポリバケツでアームのバケットに集めます。
狭い場所なので、鉄のアームは、うつむいた息子の頬をかすめるように降りるのですが、ちっとも危険なようには見えず、まるで息の合った2人が働いているようでした。
操縦しているのが父だから、3人かな?
やがてダンプで現れたハウチワカエデは、物置の屋根より間違いなく高い、大きな立派な木です。
きれいに紅葉しています。庭師、今これを見せたかったのです。
根と土を麻布と縄で巻いていますが、相当に重そうです。
植え込みの途中で、日没。強風が吹いています。穴の中で不安定そう。
倒れないかしら。
再びユンボが登場しました。アームを下げて木を支え、縛って固定されました。徹夜で重石になって支えます。
次の日ようやく、ハウチワカエデは我が家の木になりました。
長い脚立の上で枝を整える父の傍には、ユンボのアームが寄り添っています。
手すり兼工具を渡す助手?機械というより、馬や象のような人間を手伝ってくれる大きな優しい動物のようです。いいチームかと。
どうぞ、物置もよろしくお願いしますね。