おじいさんはしば刈りに
掲載日:2019.05.15
前号で粗朶(そだ)についてご紹介しました。里山管理で発生してしまう細い小枝は束ねられて、様々な用途にエコロジカルに活用されていたようです。
もうひとつ長年わからない同じような言葉に「柴(しば)」があります。そう、桃太郎のおじいさんが山に刈りに行っていたもの。
同じ呼び方ですが、芝生の「芝」ではありません。さすがに、おじいさんが山の上のゴルフ場で働いていたとは思えません。
絵本の中で、背中の背負子にどっさり枝のようなものをくくって歩くおじいさん。それが柴?薪とどう違うの?都会には幼子の疑問に答えてくれる大人はいませんでした。
ざっくり調べると、小枝を刈ったり集めたりしただけのものが柴、それをある目的に利用するために同じ大きさに束ねたものが粗朶(そだ)ということ?どちらとも曖昧に呼ばれているることも多いようですが。
ちなみに「薪」は、木を燃料にするために大きさを作り、乾燥させたもの。斧で割るほどの太めの木をイメージがちですが、焚き付けだって薪。広い意味では、おじいさんの柴も薪ということになるのかも。
個人的な説ですが、「刈り」という字をあてているので、鎌やナタの作業を想像しますが、古い使われ方の「狩り」の気分もします。
松茸狩り、とか紅葉狩りのような、野山に何かを探し歩くこと。時に思わぬ山菜やキノコを見つけたり、きれいな花を見たり。採集生活をしていた頃の名残を感じるのですが。
多分、おじいさんは煮炊きや囲炉裏などに使う、燃料にする小枝を採りに行っていたのだと思います。細い雑木を伐ったり、倒れたり落ちたりしている枝を拾ったりすることは、伝統的な里山の手入れになっていたのですね。