木熊

掲載日:2020.02.26

我が家の暖房は灯油ストーブですが、玄関に薪ストーブがあります。まだちょっと寒いかな、くらいの季節に、薪ストーブを短時間焚くのも気持ちがいいものです。薪の節約にもなりますし。

薪は買うこともありますが、近所で伐った木をもらったり、整理した庭木などを薪にして、我が家の薪管理担当者によると現在3年分くらいの在庫があるそう。

「伐った木は割って積んでおく間に乾燥して、いい薪になるのね。使うとき割ればいいや、と丸太を積んでおいただけでは、乾燥しないし、逆に乾燥してしまったら硬くて割れないのね」

と初心者は教えてもらいました。そうだったのか。

そういうわけで、玄関ポーチもウッドデッキの隅も薪が積み上がり。さらに家の周りの空いている場所に、独立した厚い塀のような薪積みの壁が出現しました。近所の薪積み名人の作品?を観察して、上には雨よけの波板をのせて、ロープをかけてある立派さです。

名人は薪を2列に積んだ壁にしているのですが、各列の間には隙間をとって乾きやすく、また各列は少し倒して互いにもたれ合うようにしたけど崩れにくくなるかなあ?、など実は知恵と工夫が満載なのでした。

丸く積んだのを見たことがある、という名人の言葉を頼りに、夫丸型に挑戦。半日後、意外とあっさり完成。可愛い〜。

直径2メートル足らず、帽子のように絞られたてっぺんが私の肩くらいの高さです。のっそりした存在感はまさにトトロ中型?

簡単だから、とそそのかされて、私も作ってみました。木は短い薪になっているので、意外と重くなく。皮やごつごつしたところが滑りどめになって、思いの外しっかりさくさく積めていきます。
あら、楽しい。

地面に書いた円に沿って、まず放射状に薪を並べていきます。もたせかけてバランスをとる2列壁と同様に、中心にむかって少し下がるように積んでいくと、自然にトトロ型になっていきます。

高さの調整に時々、外周りに円周方向の薪を入れてやるとといい具合です。見た目にも、薪の断面の繰り返しの中に、横方向の目が見えて面白い変化になります。

ネットで薪の積み方を調べていたら、「木熊」という言葉を見つけました。里山暮らしが機能していた頃、里山に入って木を伐り、そこで積んで乾燥させて、軽くなったものを、その都度家に運んで燃料にしていたそうです。山の少し開けた場所に積まれた薪の固まりは、ごつごつとした生命感があって、まさに熊っぽかったのでしょう。

昔の人の感性は、何かを動物に重ねて呼ぶことが上手ですね。狭いところをしなやかに通る一輪車は「ネコ」、細長い作業台を支える足は「ウマ」。仕事の現場で、よく働いてくれてます。

「木熊」という呼び方は、ある地域や人の間だけで使われてきた言葉なのかもしれませんが、山の暮らしの印象がよく伝わってきます。