マルメロ
掲載日:2020.12.10
どっさりとマルメロの実をご近所からいただきました。実に触れるのは初めてです。
リンゴより小さめですが、妙に重く。ごつごつした形で、梨のような黄色で、うぶ毛があって、そばかすも。
そして、とてもいい香りがします。パイナップルに優しい花の香りが入ったような。素朴な見かけのわりに、品のいい香り。部屋に置いて、香りを楽しむのだそうです。「玄関に置くといいよ」と言われました。
時々、手の中でころがして可愛がります。いいにおいと果実の冷たい体温がここちよい。ほおずりもしちゃうぞ。
じつは、我が家の庭にも数年前に1本植えたのです。花が咲いて実がなる木が欲しくて。「寒さに強いのはマルメロ」と聞いて、膝くらいの高さの苗を植え、ようやく今年、花が咲きましたが、実はなりませんでした。
伸びた枝の先に、葉に囲まれるようにして白い花がひとつずつ。5弁のさくら型の花なのですが、包むような丸い形がキュートでした。花の香りが微妙?です。面白いので、機会があれば花の匂いも嗅いでみて下さい。田舎娘が上品なレディに成長する?というところでしょうか。
友人隣人にお裾分けをしつつ、残りをジャムに。「食べれないことはないけどね。ジャムにするといいらしいよ」と、曖昧な説明でいただきました。こんなに出来るのに、その家ではジャムにしていないのかしら?下駄箱の上に置くのは、ひとつあればいいし。
謎です。
ジャムにしようと切ってみると、手強いこと。見た目から、柔らかい梨みたいなものかと、甘く見ていましたが。包丁が抜けなくなる固いカボチャを思い出しました。謎がとけたような。
果肉は茶色くもそもそで、ぼけたリンゴが固いような。味は薄く甘くも酸っぱくもなく、不安な気持ちで煮ます。切るのに苦労したので、これで違っていたら悲しいですが。
煮詰まったジャムは茶色から、きれいな赤い色に変身しました。
どうせ、がっつり砂糖とレモンの味なんでしょ、と試食すると意外にも。味の奥に蜂蜜を思わせるこくと香り。さらに干イチジクの種のような粒つぶの食感が、甘さの変化になっていて。なかなか、大人の味の食べ物に仕上がっていました。
マルメロのジャムやゼリーは、スペインやポルトガルでよく食べられているそうです。おすすめの食べ方は「チーズと一緒に」だそうです。