音がとどく場所
掲載日:2011.08.11
札幌の7月恒例のパシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)が、今年も熱く終了しました。
オーディションで選ばれた若手音楽家が、世界的な指揮者や演奏家の指導を受ける国際的な教育音楽祭で、3週間あまり連日クラシックのコンサートが開かれます。
市役所や駅のコンコース、美術館などで開かれる無料のコンサートや、1,000円で見学できる公開リハーサルや総稽古などもあって、一般市民も気軽に参加できます。
少しずつ研修生たちの顔も覚え、素人の耳にも音楽が出来上がっていくのが感じられます。思い切って、コンサートホールでの最後の演奏会のチケットを買ってしまいました。
札幌のコンサートホール「キタラ」の大ホールは舞台正面側の他、舞台を取り囲むように2階席が配置されています。全2020席。当日は、ほぼ満員で開演前から熱気に包まれていました。
私の買った安い席は舞台の右側の上。演奏者にとても近くて、どきどきします。管楽器がよく見えますが、コントラバスは全く見えません。
一緒に行った友人は舞台の後ろ側。打楽器奏者のすぐ上、指揮者と向かい合う位置でした。終了後感想を聞くと、トライアングルの可愛らしいはずの音が、がんがん頭に響いたそうで、ちょっと笑えました。よく見えて面白いけれど、音的には偏る舞台側席。
驚いたのは「指揮者の呼吸が聞こえたの!」と。小柄な指揮者は、オーケストラのすみずみを超えて、その先の上の客席まで届く強い意志と呼吸力を発揮していたようです。
私の長年の素朴な疑問。曲の最初は指揮棒が上がった時か、下がる時か?さては静止状態から始まる場合はどう?なのですが。
ふと、オーケストラの演奏者は指揮者の呼吸も聞いているのかも、と思ったことでした。それにしても、音とも言えないような、かすかな空気の振動がちゃんと伝わるホールの魔法って、すごい!
ところで、木の家では内装の木が高音を適度に吸収して、耳が心地よく感じる音にしてくれます。反響しすぎず、聞きやすい暖かみのある音に建物が調整してくれるそう。
音楽だけではなく、家族の声が聞き取りやすいと、素直に会話ができそうです。