誰でも手すり
掲載日:2011.09.25
2年前に亡くなった叔父の思い出です。
叔父は若い頃の事故で、片足の膝から下を失い義足でした。何でもなく歩く姿を見慣れていたので私には違和感はなく、ちょっと不便なんだろうな、ぐらいに思っていました。
20年ほど前に、叔父の家の改装の設計を手伝いました。独立した子供達の部屋を和室にする工事です。
「ついでだから、玄関に手すりをつけては?」と何気なく聞くと、「それはいらないよ」と妙にきっぱり断られ、まあ、今回でなくてもよいか、と引き下がりました。
世間一般で、「バリアフリー住宅」とか「ユニバーサルデザイン」ということが普及し始めた頃で、私自身の仕事では若い家族の住宅でも、水回りや玄関の手すりはつけておこうか、ということはよくありました。特に叔父の足が不自由だからというので、言ったわけではありません。
今思えば、負けず嫌いだった叔父は、やっぱり頑張っていたのだな、とわかります。
ハンディを見せず、他の人と同じように暮らすために、いつも頑張っていたのでしょう。本人も自覚していなかったかもしれませんが。
最近のお年寄りも、年齢を前向きに考える人が増えていますが、それでもふと寂しく思ったり、かたくなな気分になる時はあるかもしれません。
必要ないような気がする何でもない時に、玄関や水回りに手すりをつけてみませんか?
体が不自由でなくても、お年寄りでなくても、靴を脱ぐ時、ちょっとつかまると楽ちんです。ついいつも手をつくと、そこの壁が汚れたりしますが、手すりであれば、そこを拭けばよい、というお掃除的メリットもあります。
病院や公共施設のものものしい手すりではなく、可愛い木の棒やきれいな色のバーで、インテリアのアクセントにすることもできます。
手すりなんかいらん、という誇り高いお年寄りには、手すりを「プレゼント」してしまうのもよいかもしれません。子供や孫から贈られたら、義理堅い旧型老人は拒否できないはず。ついてしまえばしめたもの、とっても便利です。
早めの「誰でも手すり」をどうぞご検討下さい。