奈良美智さんの小さな家
掲載日:2011.12.15
先日、青森市に行くことがあり、青森県立美術館に寄ってみました。新しい美術館で、建物の設計は、気鋭の建築家青木淳さん。
【女子のための一口知識:青木さんはルイ・ヴィトンの素敵なビルを多く設計している建築家でもあります】
時間があるから行ってみるかと。軽い気持ちで立ち寄りましたが予想外に充実した展示で、気がつけば閉館の時刻。隣の三内丸山遺跡もついでに、などと思っていましたが。すでに胸一杯、外は真っ暗。
その中から、思わぬ発見をした奈良美智さんの作品をご紹介します。奈良美智さんは可愛い(よく見ると怖い?)子供の絵で有名な世界的アーティストです。青森県出身ということで、こちらでは数多くのコレクションの他、常設で空間作品を見ることができます。
空間作品のひとつ。『Hula Hula Garden』
細く暗い通路が四角い部屋を囲み、見る人はその通路を歩いて行きます。通路は暗く、壁のところどころに切り取られた窓や、節穴のような小さな穴から部屋の中を見ることができます。
通路と対照的に明るい部屋の中。木の床には3人の子供が突っ伏しています。子供たちの間には低い野の花が立ち上がり、部屋の中なのに春の陽射しが降り注ぐ野原のようにも。無邪気に遊んでいた一瞬と、暗い通路からそれを眺めている大人の自分に気がつきます。そして楽しげに地面に顔を伏せている子供にも、不安や悲しみもあったことを感じながら、感情がシンクロしていきます。
通路の暗闇に目がなれてくるにつれ、意外な発見を。縦枠のついた木のパネルを並べて、作られた通路の両側の壁です!
これは、アーキビジョン21的に言うと「あらわし壁」ではありませんか。壁の仕上げ材を張らずに、枠材やパネルの合板をそのまま見せた壁です。多分、同じ考えでこの通路も作られたのだろうなと、急にアートから現実に戻って納得したことでした。
その時には、突然気がつくと木の香りに包まれていたように感じましたが、その香りが妙に懐かしい感情を思い出させる効果があるような気もしました。
ちなみに、奈良さんのもうひとつの空間作品『ニュー・ソウルハウス』は、たくさんの部屋がつながった、懐かしい夢の中の家のような場所。ふうん、と言いながらお部屋を歩き回るこの感じは、ちょっとモデルハウスを見る時に似てました(!^^)
テラスからお庭のわんこを見るところが圧巻です。
ちなみに「みち」さんではなく「奈良よしとも」さん、男性です。