木のにおい

掲載日:2012.10.10

机の引き出しの奥から、使いかけの古い鉛筆を見つけました。久しく木の鉛筆は使っていないので、かなり昔のもの。カッターナイフで削ってみると、木の部分は乾燥したのか少し固くなっていましたが、懐かしい鉛筆の匂いがたちのぼりました。

現在では国産の鉛筆の軸はほとんど、インセンスシダーというヒノキ科の木で、鉛筆を削る時の匂いはこの木の芳香だそうです。

鉛筆の匂いの中から、教室の古い建物の匂いや、受験勉強の頃の不安な気持ちや、もっと昔の子供の頃の友達と遊ぶ時の汗や息の匂いなど次々と思い出してきました。

香りは五感の中でも、記憶を呼び覚ます力が強いそうです。ある匂いを嗅いだ時、鮮明に過去の出来事や場所を思い出したという経験はありませんか?

そして木の香りには、ストレスを抑え気持ちを鎮める森林浴効果があります。

思春期の思い出は必ずしも「いい香り」ではありませんでしたが、気分がすっきりしたのは木の香りのおかげ?

幼い子供の時に覚えた鉛筆の木の匂いは、人生の時々で記憶を呼び覚まして癒してくれるのか、と思いました。

森に包まれるような木の家の香りも、いつかそのように、しあわせの記憶のスイッチになりますように。