ほどくことができる仕事

掲載日:2012.11.25

タイヤを替えて、冬囲いして、ストーブ試運転して、そうだ手袋も探さねば~冬の支度が忙しいこの季節。お庭や畑も片付いて、さっぱりしたいい風情です。

畑の冬仕舞いのひとつ、豆やトマトの支柱の解体。昔、支柱を組み立てる時に、細い荷造り用のビニールひもをがちがち、ぐるぐるに縛り上げてしまったことがありました。組み立てた時もひと苦労でしたが、半年後さらに大変なことが。

やたらと結びこぶを作ったビニールひもは、ほどくことができません。寒風の中、指先がかじかみ情けない気分。仕方なく、カッターでめった切りするという乱暴さ。土の上にずたずたの白いひもが散らかり、はずした支柱には、ほどききれない白いひもがからまったまま。体も心も冷えきって疲労困憊です。

翌年春、人はどうしているのか観察しました。気がついてみると名人の仕事の見事さ、美しさ。ひもを結ぶ部分が、しっかり手早く、きれいに揃って。しかもどうやら、簡単にほどいたり締め直せるようではありませんか!以来、結び方を眺めたり、機会があれば教えてもらったり。

ちょっとしたこと(本人にとって。知らない人には宝物)を教えてあげられるのは嬉しいことです。ネットでも「結び方 農業 畑 ロープワーク」などで検索すると、支柱以外にも面白い結び方を発見できます。農家の人の「親父がこうしていました」とか「うちの村ではこう結びます」みたいな記事を見ると、わくわくします。試してみるのも簡単ですし。

やりっ放しではなく、ほどくことができる仕事は小さな未来を見るようで安らぎます。そういえば昔は手編みのセーターもほどいて、新しく編み直していましたね。

ほどく仕事、どうぞ冬の間のお楽しみに。