よその家にお泊まり
掲載日:2013.08.18
子供の頃、よその家に泊まるのは、ちょっとしたイベントでした。
たとえ親と一緒で、よく知っている親戚の家であっても、近所の知り合い宅でも。知らないことに満ちあふれたスリリングな体験でした。少しだけお客様扱いをしてもらえるのも、嬉しかったものです。
自分の家と微妙に味やメニューの違う朝ご飯。普段あまり会わなかったその家のおとうさんや、お勤めしているお姉さんとお話したり。自分の家と違う小さな習慣や。みんなで見るTVの番組も違っていました。
お風呂の石けんやシャンプーも違うし、渡してもらったバスタオルの肌触りや匂いも、新鮮です。
家の建物が違うのも刺激的です。非日常のキャンプやホテルではないので、自分の家と同じような部屋があるのだけれど、なぜか全然違う「よその家」。
大人は、どこの家も似たような間取りで、同じような建材じゃないの?とか思ってしまいますが。泊めてもらって長い時間を過ごしてみると、我が家と違う建物の味わいに気づき始めます。
同じに見えた木の床や壁も、色や木目だけではなく、すり減り具合や磨かれ方の方が面白い。肌触りや温度も我が家と違う。室内に射し込む光の角度や柔らかさも意外と違うし。建物や料理や庭から流れてくる外の空気等など混じった、その家独特だけれど、不快ではない匂い。
家の建物が親しく思えてきたら、住む人とより深く触れ合えたように感じるかもしれません。
もうひとつ、お泊まりの楽しみがあります。楽しい時間を過ごして家に帰った時。「やっぱりうちが落ち着くね」と、新鮮な目で我が家を味わう楽しみです。心ゆくまで、たっぷりどうぞ。