家づくりの季節
掲載日:2015.04.10
窓から通りを眺めていたら、中央分離帯の大きな木にカラスが止まっていました。まだ木の葉がないので、よく見えます。
高い枝の中程で、妙な動きをしています。毛づくろいかと思えば、羽根を目一杯ふくらませて、わっさわっさと体をゆすったり。尾の羽を広げながら、お尻をふってみたり。枝に体をこすりつけたり。そのたびに晴れた光の中で、羽根がつやつやと光ります。
虫でもついて、かゆいのか?それとも光っているのは、油の中にでも落ちたのか?いえ、違います。これは、求愛行動にちがいない。あたりを眺めると、いました。離れたところに少し小さいカラス。「彼女~ここに巣を作って子供を育てよぉぜぇ~」
どきどきしながら見守っていましたが、やがて小さな方は飛び去り、しばらくして彼も去って行きました。
そのあたりは、時々カラスが巣を作る場所です。分離帯にしては大きな木がしげっているので、カラス的には一見よさそうに見えるのでしょう。しかし、近所に幼稚園があって、通報されてしばしば撤去されてしまうのです。
こんな危ない場所に家をつくろうなんて、こんな男の卵を産んだら苦労するね~と彼女は思ったかどうか。
4月はカラスの繁殖の季節です。巣の中で20日くらいで卵は孵り、1ヶ月ほどで巣立つそうです。その間、親鳥は懸命に巣を守って近づくものを警戒します。
早いテンポのカッカッカッカッ、という鳴き声は警告音です。近づくと後頭部キックで威嚇してきます。不必要に近づかないのが賢明ですが、やむを得ない時は傘を差したり、両手を上に上げてホールドアップするとよいそうです。(「降参」ではなく、翼が当たるのでキックできない)くちばしで攻撃してくることは基本的には無いそうなので、パニクらずに早く去りましょう。
繁殖期には巣を撤去してもタイミングが悪いと、縄張り内で近くにまた巣をつくるので、かえって営巣期間が長引くだけのこともあるそうです。
昔、弊社モデルハウスで起きた事件を思い出しました。ある日、2階の窓の外に付いたプランターに水をやっていた女子社員の悲鳴が響きわたりました。花の間にふにゃっとした物体があって、掴んでしまったらしいです。「誰がこんなことしたの!」と怒っていましたが、多分犯人はカラスです。
市街地でゴミを荒らしているのは、たいていはハシブトガラスですが、彼らはエサをゲットすると、くわえて運んで安全な場所で食べる習性があるのです。さて、木とレンガの落ち着いた場所でゆっくり食べようかと思っていたら、いきなり人間が来てご馳走を放り出すなんて、さぞカラスもがっかりしたことでしょう。