火の用心

掲載日:2016.01.10

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくおつき合い下さい。

テレビで只見町(福島県)の「火の用心」のことを見ました。ご覧になった方も多いかと思います。只見町では数えで6才になった子供は、お正月の書き初めに「火の用心」と書くのだそうです。半紙に墨で、その文字とひらがなで自分の名前を書きます。何枚も書き、それは近所や親戚に配られます。

親に付き添われて、雪の道を歩いて行きます。玄関先で、かしこまった表情でそれを渡すと、家の人はねぎらってお菓子やお年玉をくれるのが習慣です。子供はそこで緊張がほどけ、にこにこ顔になります。

6才と「無災」をかけた風習とのことでした。

6才の子供にとって漢字の多い文書(!^^)を毛筆で何枚も書くのは、かなりの大仕事なはず。テレビでは、飽きていやがる子供をなだめすかして書かせるのは、おばあちゃんの役目とか言ってました。

この町の子は、まずその字から覚えるのだそうです。もちろん、火の用心についても学びますから、教育効果はたっぷりです。

しかも、それが一族や地域の1年の平安を守るという重要な使命を持つのです。本人は自分と社会について知り、神妙な気分を味わうことでしょう。

配る時の成長した子供を披露する親の嬉しさもひとしおでしょう。また受ける家では、地域の子供を確認できるよい機会ですから、単なる防災行事ではなく子育て支援システムとも言えそうです。

もらった家では、それを神棚のまわりに貼ります。子供が何人も来るので、何枚も下がります。幼い字と名前が並ぶと、ほのぼのとした明るいものが立ちのぼるようです。

雪に閉ざされてどんよりしがちな冬の室内に、白い紙と墨の色のコントラストはインテリア効果も高いかも、と思ったことでした。