針江 生水(しょうず)の郷 2.水力発電の常夜灯
掲載日:2019.11.11
車で琵琶湖周辺を巡る旅に出かけ、琵琶湖西岸の針江(はりえ)に行きました。針江は生水(しょうず=湧水)の郷、ボランティアガイドさんの案内で、住宅敷地内の川端(かばた=外流し)や水路が巡らされた美しい路地を歩きました。
公民館のそばの水路で、木製の水車が回っていました。いい雰囲気です。「シンボル的に昔あったのを作ってみたんだけどね」とガイドのおじさん。
ただ回しても面白くないので、裏側にオリジナルの水力発電機を作ってみた。近所の機械屋と板金屋が工夫してね。小さいながら発電できる。で、常夜灯を作った。あれね、と指差されたのは、和風デザインで時代劇の夜のシーンに登場しそうな低い街路灯。
ありがちな、と眺めていましたが、地元発電の直利用物件だったのでした。あなどれません。
しかもこの物件、もうひとつ機能が。上部はLEDの照明なのですが、下部は下水道への空気取り入れなのだそう。
琵琶湖は1970年代には赤潮が発生し、汚染に対する取り組みが行われてきました。下水道化を進め、排水を処理することもそのひとつです。
この地区は下水管を深く埋設できず、勾配をとることができないため、吸い取るように送水しているそうです。その時、空気を取り入れる必要があり、地上に空気取り入れ口が設置されています。
孔があいた金属製のパイプ型の取り入れ口もありましたが、このような常夜灯型も。なぜ?と思いましたが、何だかすごいなあ、とも。メカが単純で、管理が簡単なら合理的です。
常夜灯の第一号が点灯したのが、奇しくも2011年2月28日だそうです。直後、東日本大震災が起きました。原発と電力に依存した社会に対する不安の中で、この常夜灯は地産地消、究極のエコ発電だ、と予想外の注目を集めることになってしまいました。常夜灯の使命のひとつだったのかも。
針江 生水の郷公式ウェブサイト
http://harie-syozu.jp