春の簾(スダレ)
掲載日:2020.05.12
夜明け頃、居間の窓ガラスに何かがぶつかった音で目が覚めました。あ!と跳ね起きた夫が見に行って「何もいなかった」と、ほっとしたように戻ってきました。
時々、居間の大きなはめ殺し窓のガラスにぶつかる野鳥は、我が家の悩みなのです。幸いまだガラスが割れるほどの激突はなく、多分、死亡事故も起きていないと思うのですが。でも、何もなかった土地に、後からやって来て障害物を作った私たちには、対策する責任があるかと。
とりあえず、窓ガラスの内側から蛍光色のフセン紙をべたべたと貼りまくり。外側には、マーキング用の黄色いテープを長くひらひらさせ。飛行中の鳥の皆さんの注意喚起を。怪しい外観とうっとおしい眺望を我慢しながら、来客に不審がられていましたが、効果のほどは不明。鳥に聞いてみるわけにはいかないし。
なぜ?どうして?鳥の気持ちになって、飛びながら(空想)我が家を眺めます。いつも飛ぶルートや季節や時間帯や状況などを、考察します。
外から見ると太陽の光の差す角度によって、雲や樹木のしげみが映り込んで、まるでガラスの向こうまで空間が続いているように見えることがあると思われます。
他の鳥に追われたり、喧嘩をしたりして、パニック状態で前も見ないで飛び込んできたらしきこともありました。
バードストライク防止の定番グッズ、ガラスに貼る猛禽のシールや窓辺の猫の置物はどうかしら?ないよりはマシかもしれないけれど、気にしないかも。パニック時は意味がなさそうです。
うちにはスダレがいいかも、と話していたところでした。外から見て空や樹木の写り込みがなくなりますし、万が一ぶつかった時も衝撃が弱まります。
もうひとつ別の理由。その大きな窓は西向きで、夏は午後からの日差しが強いので、日除け対策になるかと。日射は、ガラスの外側でカットするのが一番有効、緑のカーテンは間に合わないけれどスダレなら即、かと。
今は鳥の子育てシーズン。へたくそな一年坊主のひな鳥たちがデビューして来るし、親鳥も気が立っているし。急がねば。これは不要不急ではない。
ホームセンターには、ちょうどいい大きさの大判の中国製スダレがありました。外壁から持ち出して吊るす金属製のブラケットを3個、その隣にあった巻き揚げ器というのも、買ってみました。
とても安くてびっくり。全部で2,000円足らずでした。
窓の周りの外壁は木の板張りなので、ブラケットの取り付けは問題なくできました。あまりに安いので信用していなかった巻き揚げ器は、意外なことに優秀です。スダレに取り付けると、するするとロール状に巻き上がり、小さな内蔵の歯車で好きな高さでとまります。
窓の内外とも、何となく和風な素朴で柔らかい風情になりました。
室内からは少し透けて外が見え、涼しげです。半垂れ状態にすると、隣の家が隠れて、見えるのは家の菜園と樹木だけ。落ち着いていい感じです。
スダレの素材は、ヨシなどのイネ科の植物の茎だそうです。一本一本、不揃いな細い茎が編まれて優しい縞模様です。
数年は使えそうですが、多少いたんでも次に、家庭菜園の風除けや堆肥の覆いなどに使い回せるかな、上下の竹の部分は、畑の支柱に使えるし、と新たな考えが。天然素材なので最後は堆肥ね?