きのこの木

掲載日:2020.09.30

昔、友人宅でシイタケのホダ木を見せてもらいました。友人宅裏の柵に斜めに立てかけた丸太に、シイタケがにょきにょき。

キノコ好きの私は興奮しました。「採ってみて」と、収穫体験もさせてもらいました。ひんやりした感触のキノコは、意外にしっかりホダ木にくいついているようでした。

うらやましい!もちろん、どんどん採れる(^o^)というのも魅力ですが、身近にキノコが育つのを見ながら、ちょっと触ったり、匂いを嗅いだりできるのがいいなあ、と。

残念ながら、当時はマンション住まいであきらめましたが。やがて戸建てに住むようになって、早速運命のように、近所に住む人(以下キノコ師匠)から菌を植えた原木をもらったのです。秋でした。

師匠は「あんまり日があたらない場所に、ムシロでもかけて横にしておきなさい。来年GW頃に裏の壁にでも立てたら出るから」と、あっさり指導してムシロもくれました。

雪で倒れないように寝かせておくんだな、と単純に理解し、次の年、いそいそと柵を作って立てかけました。が、その年はあまり出ず。翌年あたりからぽちぽち。もやもや観察するホダ木ライフでした。

不思議なことがありました。立てたホダ木の上の木口に、白いシミがついていたのです。白いチョークでこすったようにも見えました。てっきり野鳥が糞をかけ、それが雨に濡れて広がったのだと思っていたのです。もう!失礼ね。

じつはそれは、ホダ木の側面に打ち込まれた種菌が、木の内部の縦に広がる組織伝いに広がって、上に出てきたもの(菌紋)だそうです。つまり、それはキノコが順調に成長している証拠だったのです。疑ってごめんよ、野鳥。

もうひとつ、私の誤解がありました。キノコは、ドリルで穴をあけ種コマを打った場所から生えてくるように思っていたのですが。
売られている栽培キノコのように、根元でぎゅうぎゅう詰めに何本ものキノコがひとつの穴から生えている?考えてみるとシイタケの場合は、形と大きさから物理的に無理でしょうね。

ホダ木の中では、キノコの菌糸がみっしりとつながり、表面にシイタケとなって出てくるのです。穴のあたりから生えることも、もちろんありますが、それ以外の出やすいそうな隙間からも、自由に出てくるのでした。

シイタケは、ホダ木の中をびっしりとインターネットのように縦横無尽につながっているらしいのです。ちなみに、菌を植えた原木を最初は横に積んでおくのも、菌が回りやすくするためだそうです。

今年の猛暑は、キノコにはどうだったのでしょう。自然のキノコもそろそろ季節。師匠によると「山のは、空気が冷やぁ〜っとしてからだね」だそうです。