お金とお買い物と幸せ
掲載日:2021.02.25
以前、近所のお店で見かけたシーンです。カードの使えないお店でした。
若いおかあさんが小さな女の子を連れて、お会計をしていました。
千円弱の買い物で、お財布をのぞいたおかあさんが「ごめんなさい」と一万円札を出し、お釣りをもらうのをじっとみていた女の子。
そこを離れてから母親に「どうして、お店の人にあやまったの?」と聞いていました。おかあさんは何も悪いことをしていないし、お金も払ったのに何故「ごめんなさい」なのか、疑問に思ったのでしょう。
おかあさんは「大きいお金を出すと、お店のおねえさんは、いっぱいお釣りを数えなきゃいけないでしょ。忙しいのに、お手間かけてごめんなさい、って言ったのよ」と、丁寧に教えてあげていました。
子供は納得し「お手間かけて」のフレーズが気に入ったようで、嬉しそうに自分でも繰り返していました。大人のお買物っぽくて素敵?と思ったのでしょうか。立派なおかあさんだなあ、ちゃんと話し合えていい親子関係だなあ、と感じ入りました。
もうひとつ古い記憶を。新聞の投書欄で読んだのだったか、やはり母親と小さな子供の会話のお話です。近所の商店で買い物をした後、子供に「どうしていつも、あのお店で買うの?」と聞かれた母親の答えです。「おうちの近くに、ずうっとあって欲しいな、と思うお店で買うのよ」
子供はそれを売っている店やスーパーは他にあるのに、どうしてその店で買うのか、不思議に思ったのでしょう。「安いから」でもなく「どこでもいいけど、たまたま」でもなくて。母親というのは、たいしたものです。
最近ではネットやクレジットカードで決済することが増え、財布を開けて現金を払う場面がめっきり少なくなりました。子供が親の買い物をする姿を見る機会も減りましたが、お金や買い物のことは上手に子供に伝えてあげたいですね。
私も、永くそこで続いて欲しいお店で、ささやかながらのお金を払う時、ちょっと幸せになります。